これからの時代、娯楽豊富で彩り豊かな老後を送るためにも、
出来る限り最後まで自分自身の力で生活をしていくためにも、
デジタル機器やデジタルサービスの利用は、より必須になっていきます。
とはいえ、
最後の最期、処分をしてくれる人のいない「おひとりさま」は、
それらをそのまま、使い放しにしておくわけにはいきません。
ご自身の能力低下、認知機能低下を考慮しながら、
段階的な断捨離をいていくことが大切です。
この記事をお読み戴きますと、
後半の人生を歩む際に、どのように「デジタル遺品」と向き合っていけば良いかがよく分かります。
楽しみながら、お読みになってくださいね。
デジタル遺品とは
「デジタル遺品」とは、
法的に明確な定義はありませんが、一般的には、
持ち主(利用契約者)の方が亡くなった際に遺品となる
- PCやスマホ等のデバイス本体に保存されているデータ
- USB等のメモリに保存されているデータ
- Cloud上に保存されているデータ
- ネットで契約したサービス情報
- ログイン情報(アカウント・PW)
などを指します。
デジタル終活とは
上記「デジタル遺品」
&
デバイスなどハードとしてのデジタル機器自体
を、死後を踏まえて生前から整理しておくことをいいます。
デジタル終活の3STEP
デジタル終活を段階的に行うにあたり、「没後の処理」も含め3つのSTEPが必要となります。
STEP1 棚卸し
棚卸しをするにあたって、3つの側面に分けて考えていきます。
1:デジタル機器
この場合の「デジタル機器」とは、主にPC・ノートパソコン・タブレット・スマホなどのデバイスのことです。
①所有しているデジタル機器を、一覧表にします。
※その際、全く使用していない機器は、中のデータを確認し、処分できれば処分しましょう。
②それぞれについて
・保管場所
・機器ロックを解除するときのPW
・自分の死後どのように承継若しくは処分して欲しいかの希望
などを一覧表に記入します。
「デジタル機器」一覧表の例
「デジタル機器」に関しては、オレンジ色の枠内をご覧ください。
2:オフラインデータ(物理的外部メモリ含む)
この場合の「オフラインデータ」とは、インターネットに繋がなくても、作成・編集・閲覧など出来るデータのことです。
①・デジタル機器内に保存しているデータ
・USBやDVDなどのメモリ機器及びその中に保存しているデータ
を一覧表に記入します。
一覧表にする前に・・・
●不要なデータは削除する。
●グルーピングできるデータはひとまとめにし、フォルダに入れておく。
●デジタル機器内のデータで、外部に移行できるものはUSBなどに移行しておく。
※USBなどに移行した際は、日付や内容をラベリングしておくこと。
②それぞれについて
・保管場所
・自分の死後どのように承継若しくは処分して欲しいかの希望
などを一覧表に記入します。
「オフラインデータ」一覧表の例
「オフラインデータ」に関しては、ピンク色の枠内をご覧ください。
3:オンラインサービス(cloudなどのオンラインデータ含む)
この場合の「オンラインサービス」とは、インターネットに繋がないと利用できないサービスやデータのことです。
①サービス種類別に一覧表にまとめます。
※利用していないサービスがあれば、退会しておきましょう。
②それぞれについて
・利用サービス
・アカウント
・紐づいているメアド
・PW
・登録銀行、支店、口座番号
※支店や口座番号は記載しておかなくても、契約者本人の死後、各金融機関にて確認出来るが、記載有ればスムーズ。
などを記入します。
「オンラインサービス」一覧表の例
アカウントの〖一身専属性〗
●オンラインサービスのアカウントは、基本的には「一身専属性」を持つ。
●「一身専属性」とは、権利や義務が契約者本人にしか発生せず、他者に移転させることは出来ない性質。
●よって、本来は「一身専属性」のある故人のアカウントに直接ログインし、追悼文を載せたり、そこからアカウントの削除をしたりすることは規約違反だが、運営側で許容範囲としているところもある様子。
4.棚卸し(一覧表作成)の際の注意点
注意その1.
重要なPWが記載された一覧表の格納場所に気を付けること!
一覧表には、大切で重要なPWを記入することになります。
一覧表の格納場所・隠し場所に充分注意しましょう。
例えば
●一覧表データをUSBに移動➡USBを鍵の掛かる収納場所や銀行の貸金庫に保管する。
●Windowsの隠しファイルにしまう。
など。
※格納場所(隠した場所)は、死後の事務を委任する人や組織に伝えておくことになります。
注意その2.
一覧表への記載事項には、「法的効力」は有りません!
一覧表のなかの項目「希望する処分方法」にて「相続人」を指定しても、法的な拘束力は有りません。
エンディング・ノートも然りです。
「法的効力」を持たせたい場合には、遺言書や契約書を利用しましょう。
STEP2 定期的な見直しと断捨離
棚卸しを行い一覧表を作成したら、少なくとも年に1回は、定期的な見直しと断捨離を行いましょう。
定期的な見直しと断捨離の際も、やはり3つの側面に分けて行っていきます。
1:デジタル機器
利用していない機器を処分しましょう。
勿論、中のデータを整理してから、です。
見直しと断捨離が終わりましたら、一覧表を修正しましょう。
2:オフラインデータ(物理的外部メモリ含む)
●不要なデータを兎に角「削除・廃棄」します。データの断捨離です。
●普段は使わないけれど残しておきたいデータは、USBなどに移して別保存します。
※その際は、新たなUSBとして一覧表に追加記載しておくこと。
●不要なDVDなどあれば処分しましょう。昔の彼氏のDVDでしょうか?(^_-)-☆
見直しと断捨離が終わりましたら、一覧表を修正しましょう。
3:オンラインサービス(cloudなどのオンラインデータ含む)
●利用しなくなったサービスがあれば、退会しましょう。
●利用メアドが多過ぎないか、もっと少なく、最低限に出来ないかチェックをしましょう。
見直しがと断捨離が終わりましたら、一覧表を修正しましょう。
定期的な見直しと断捨離、そして一覧表の修正を繰り返し、
「デジタル遺品」「デジタル機器」を、段階的に縮小していきましょう!
STEP3 最終的な後処理/没後と没後に向けて
おひとりさまが、「デジタル終活の最終的なSTEP」として考えておかなければならないこととしては、
1:没後の事務処理事項の想定
2:それらを行ってもらうために、生前に「没後の処理を任せられる人・組織」を選定し契約を締結しておくこと。
となります。
1:没後の事務処理事項の想定
①サービス解約手続き
●利用サービスを確認・解約する前に、機器を処分してしまわないよう気を付けること!
②デジタル機器の処分
●機器の相続・遺贈
●遺言などによる機器の廃棄処分
2:「没後の処理を任せられる人・組織」の選定と契約締結/生前
①死後事務委任契約
死後事務委任契約とは、「デジタル遺品」の始末含め、本人の死後の相続以外の様々な事務手続き・事務処理の権利を、信頼できる個人や法人に与えることを、生前に取り決めておく契約。
信託契約を利用した「おひとりさま信託」というものもあり、2022年6月時点では、三井住友信託銀行のみで扱われているようです。
https://www.smtb.jp/personal/blind/after/lp02
②負担付死因贈与契約
贈与者(本人)の希望に従って「デジタル遺品」を処理、始末してくれることを条件に、贈与者(本人)が死亡した際には、財産の一部または全部を贈与することを、受贈者との間で生前に取り決めておくこと。
③負担付遺贈
信頼できる個人や法人に対し、「デジタル遺品の処理」を条件に、財産の一部または全部を相続させることを、遺言書に記しておくこと。
まとめ
ブロックチェーンにWEB3・・・
これから、社会はどのように変わっていくのでしょうか。
好きなところに居ながらにして、好きな時に、好きなことができる、
それで生計が成り立つ世の中になっていくのでしょうか。
シニアになり、身体が衰えてきたとしても、さして問題も無く、
それまで通りの楽しい日常を過ごせる、
そんな世界も遠くないことに思えます。
現代社会において、
《デジタル》はもはや、水や電気と変わらない「必須当然のインフラ」であり、
反面、個人管理の部分が多い「プライベート・ゾーン」でもあります。
ご自分の死後、「プライベート・ゾーン」に対応してくれるご家族のいない私達《おひとりさま》は、
“立つ鳥跡を濁さず”
《デジタル遺品》に関しても、日頃から段階的に整理を重ね、
すっきりとお片付けの手配をつけて、軽快にあの世へ旅立ちたいものですね!