疲れて帰宅したとき、「待ってました!」とばかりに迎えてくれる可愛いペットちゃんは、掛け替えのない存在です♡
だからこそ
「もし一人暮らしの自分が、ある日突然倒れたり、亡くなったりするようなことがあったなら、この子どうなってしまうのかしら・・・」と心配になったことはありませんか?
そんなご不安を一掃できる代表的な方法を、3つご紹介致します。
愛するペットちゃんの為に、ぜひ知っておいてくださいね!
残されたペットちゃんが、不自由のない幸せな生涯を送るための3つの方法
1.ペット信託
ペット信託とは
ペットちゃんの為の財産を、信頼できる人や組織に託しておき、飼い主にもしものことが起こった時、あらかじめ決めておいた目的や要望に沿って、飼い主の代わりにペットちゃんのお世話をしてもらう制度です。
飼い主が認知症などになる前、判断能力があるうちに、その為の契約(信託契約)を締結します。
ペット信託の仕組み
- 「受託者」は、信頼できる親戚・友人・知人などでも可。
- 「受託者」と「受益者」が一体となっている法人も有り。
- 「信託財産」は、ペット信託契約にて決められた範囲内でしか使うことはできない。
- ペット信託契約は、公正証書によることが望ましい。
- 「信託財産」に関しては、金融機関において「ペット信託契約専用の口座」を開設することが望ましい。
ペット信託契約で決めておく内容/契約書に盛り込む事項例
- ペット信託契約をどの時点で開始するか。
・飼い主が、病気や怪我などで長期入院を余儀なくされたとき
・飼い主が、老人ホームなど施設へ入所したとき
・飼い主が、死亡したとき
など、飼い主自身による飼育が困難となるであろう状況を想定して、契約開始の条件を設定しておく。 - 飼育においてどのようなことを望むか。
・食事についての希望
・排泄についての希望
・散歩、運動についての希望
・将来入所させたいペット施設などについての希望
など飼育方法、整えたい環境などに関する希望条件を設定しておく。 - ペット信託契約をどの時点で終了させるか。
・ペットが亡くなったら終了。
・里親が見つかれば終了。
など、契約を終了させる時点の条件を設定しておく。 - ペット信託契約終了後、残った財産がある場合には、誰に、或いはどの法人に帰属させるか。
・金銭を管理してくれた「受託者」に遺す。
・ペットを育ててくれる「受益者」に遺す。
・ペット愛護団体に寄付をする。
など、残った信託財産を何方に遺すかを記載しておく。
ペット信託に掛かる費用
- ペット信託契約書作成料 (司法書士や弁護士など専門家に依頼した場合)
※公正証書を作成する場合は、公正証書作成費用が必要。 - 飼育費
・ペットフード代
・ノミ、ダニ予防費
・シャンプー代
・トイレ砂、シーツ代
・医療費(獣医代)
など
犬種・大きさ・寿命(余命)などにより、必要な飼育費用は異なります。
日頃から、ペットちゃんに掛かる年間費用を計算しておきましょう!
ペット信託に掛かる費用は、「信託費用」として、基本一括して支払うことになります。
ペット信託のメリット・デメリット
メリット
- 契約で取り決めておけば、飼い主の死亡時だけでなく、生存中でも、病気などでペットの世話が出来なくなったときに利用できる。
- 飼い主の希望に沿った細やかな世話をして貰える。
デメリット
- 新しい飼い主となってもらう「受益者」を見つけ難い。ペット施設の数もまだまだ少なく、希望通りの施設を見つけ難い。
施設を選択する際は、パンフレットに目を通すだけではなく、現地を視察し、担当者のお話を実際に聞きに行きましょう!
- 「信託財産」に関しては、「ペット信託契約専用の口座」を開設することが望ましいが、「ペット信託」に関しては発展途上でもあり、銀行から認められないこともある。
口座開設時、銀行を訪れる際は、「ペット信託契約書」を持参しましょう!
公正証書を要件としている銀行もあります。
2.負担付遺贈/もし飼い主が亡くなったら・・・
負担付遺贈とは
”本人(飼い主)の死後、ペットの面倒を見ること“などを条件にして、遺言書により財産を相続させること。
遺言書により財産を相続させることを「遺贈」と言います。
負担付遺贈の仕組み
- 「遺産をあげるから、ペットちゃんの面倒を見て欲しい。」という「遺言者=飼い主」の要望は、「遺言書」を書く時点では、あくまでも「遺言者」自身の希望であり、相続人となる「受遺者」は了承しているわけではないので、遺産相続時に、相続を拒否することも出来る。
- 「遺言書」には、「第一順位の受遺者」が「遺言者」より先に亡くなった場合に備えて、「第二順位の受遺者」を指定しておくことも可能。
- 「受遺者」は、相続した分の財産を超えない範囲でのみ、”ペットの世話“という義務を負う。
- 「受遺者」が、途中でペットの飼育を放棄した場合には、受け取った遺産を返却しなければならない。
- 「遺言執行者」は、「遺言者」に代わって、「受遺者」がペットの世話を適切にしているかどうかを確認、監視する。
※「遺言執行者」は「法定相続人」などの場合もあれば、「弁護士などの専門家」の場合も有り。
負担付遺贈のメリット・デメリット
メリット
- ペットに関する事項以外も、遺言書1つで遺すことが出来る。
デメリット
- 「受遺者」に相続を拒否・放棄された場合、ペットの行き場がなくなる可能性がある。
3.負担付死因贈与契約/もし飼い主の生存中に何か起きたら・・・
負担付死因贈与契約とは
”ペットの世話をすること“を条件として、本人(飼い主)が死亡した時に遺産の全部または一部を贈与するという契約を、本人(飼い主・贈与者)と飼育者(受贈者)の間で締結する方法です。
飼い主の存命中から、飼育者(受贈者)にペットの世話をしてもらうことが可能です。
負担付死因贈与契約の仕組み
- 口約束でも成立するが、トラブル回避のためにも契約書のほうが良い。公正証書であれば尚良い。
- 飼い主と飼育者が両者で契約をするため、原則的に一方的に変更・撤回することは不可。
- 「受贈者」=「飼育者」の監督・監視をしてくれる「負担付死因贈与執行者」を指定し、契約を交わしておくこと。
※「負担付死因贈与執行者」は「法定相続人」などの場合もあれば、「弁護士などの専門家」の場合も有り。
※負担付死因贈与の『負担付』に関しては、贈与者の生前における「受贈者の負担」であり、贈与者の死亡と共に「負担義務」が終了するという認識がある一方で、契約書内容によって拡大させることが可能とする専門家もいらっしゃるようです。
個別具体的には、司法書士や弁護士にご相談くださいませ。
負担付死因贈与契約のメリット・デメリット
メリット
- 両者の合意の上で契約をすることになるため、“遺贈”より確実である。
- 生前からペットを飼育して貰える。
デメリット
- 「受贈者」が、約束通り契約義務を果たしてくれない可能性もある。
「お一人暮らしの飼い主がペットちゃんを救う3つの方法」についての注意点
小さいペットちゃんの行く末を案じ、ペット信託・負担付遺贈・負担付死因贈与を考えるとき、気を付けておかなければならない点が、2つあります。
財産全てを、ペットちゃんの為だけに遺そうとしないこと。
1.法定相続人の遺留分を考えて、ペットちゃんのために遺す額を計算すること。
法律により、法定相続人には、最低限保障されている遺産の取り分(遺留分)があります。
他の相続人から遺留分侵害の請求など起こされることないよう、法定相続人の遺留分を考慮して、ペットちゃんのために遺す額・内容を決めましょう。
2.相続人に課せられる「相続税」も考えて、ペットちゃんに遺す額を計算すること。
財産を譲り受けた場合には「相続税」が掛かるため、「受遺者」・「受贈者」の「相続税」も考慮して、依頼内容や額を決めるようにしましょう。
こちらの終活アドバイスは、あくまでも 一般的なアドバイスに留まるものです。
個別詳細な法的事項に関しましては司法書士や弁護士の方に、税務事項に関しましては税理士や会計士の方にご相談ください。